「〇〇ちゃんって、本当に可愛いよね」
20代の頃なら、
素直に喜べたはずのその一言に、
なぜか胸がザワついた夜。
褒め言葉の裏にある、
「ただの年下(扱いしやすい子)」と、
して見られているような、
都合のいいポジションに置かれているような感覚。
「私、もういい大人なんだけどな……」
口に出せない苛立ちが、
張り付いた笑顔の裏でぐるぐると渦巻いて。
本当は、「私たちのこれから」
について不安でいっぱいなのに、
「重い、
めんどくさいって思われたら終わり」って、
リアルな本音をぐっと飲み込んでは自爆する日々。
「この年齢で、
足踏みしてる場合じゃないのに」って、
焦りばかりが空回りしていました。
よくある恋愛ノウハウには、
決まってこう書いてある。
「男性には、
一歩引いた柔和でかよわい女性がウケる」って。
だから私も心のどこかで、
そんな都合のいい理想の彼女像に、
自分を当てはめようと必死でした。
仕事では自立を求められるのに、
恋の前では急に、
「無力な可愛い女の子」を、
演じなきゃいけない矛盾。
でも、そんなの本当は違った。
ただ、
相手のペースに振り回されるだけの恋なんて、
もう要らない。
それよりも、対等に、
お互いの価値観をぶつけ合いながら、
「一緒に何かを作り上げる時間」のほうが、
ずっとずっと心が動く。
最近、私の中で恋の形が少しずつ、
でも確実に変わってきています。
ただお洒落をして、予約されたお店で、
「ごはん→映画」をこなすだけの、
形式的なデート。
それよりも、今の私たちが求めているのは、
没入感・共同作業・想定外の、
体験を共有するスタイル。
スマートに、
エスコートされるだけじゃなく、
ふたりで予想外のハプニングに、
「どうする」って驚いたり、
正解のない何かに、
夢中になって泥臭く笑い合ったり。
「あのとき、
これ一緒にやったよね」って、
あとから何度も、
戦友みたいに愛おしく思い出せるような体験。
格好悪いところも、
見せ合えるその空間こそが、
大人のプライドの壁を壊して、
距離を一気に縮めてくれるんです。
昔の私は、
上手くいかないことがあるたびに、
「ここで諦めて、
ひとりで生きていく方が楽かも」って、
何度も弱気な気持ちを抱えていました。
周りの結婚報告に、
心が折れそうになった夜も一度や二度じゃない。
でも、ここで諦めたら、
自分の未来に背を向ける気がしたから。
彼の何気ない言葉ひとつひとつに、
私の心がすとんと落ちていった理由。
それは、
年齢や立場、スペックなんかじゃなく、
同じ熱量で体験を共有できたから、
なのかもしれません。
30代の恋愛、
もうこれ以上頑張りすぎなくていい。
誰かが作った理想の女性を演じなくたって、
ありのままのあなたの人間味に、
ちゃんと惹かれる人はいるから。
あの頃の空回りした不安も、
言えずにのみ込んだ言葉も、
全部今の私をつくってくれた大切なキャリア。
そう思えたとき、
あんなに窮屈だった恋が、少しだけ優しく、
愛おしいものに変わりました。
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