高校を卒業して、
ずっと憧れていた一人暮らし。
お気に入りの、
家具で揃えた部屋のレイアウトも、
今日のごはんを何にするかも、
夜ふかしする時間も、全部が私の自由。
「これから、
楽しいことばっかりの毎日が始まるんだ!」
そう胸を躍らせていた、あの春。
だけど、
自由の賞味期限は、
思ったよりも早く切れてしまいました。
自由って、こんなにも静かで寂しいんだ。
夜のコンビニの帰り道。
ふと液晶が、
光るのを期待してスマホを開いても、
LINEの画面は静まり返ったまま。
鍵を開けて入る部屋の、
あの冷んやりとした静けさが、
なんだか妙に胸にしみるんです。
ガタガタと回る洗濯機の音、
電子レンジの、
無機質な「チン」という電子音、
誰も見ていないテレビの声。
部屋にあるすべての音が、
私に「ひとりぼっち」を、
突きつけてくる気がして。
今まで「当たり前」すぎて、
気づけなかった家族の笑い声や、
「おかえり」って言ってくれる誰かの存在。
それが急に、
泣きたくなるほど恋しくなりました。
自由になるって、
ちょっとだけ、寂しい。
そんなある日のこと。
重い荷物を持って、
トボトボ歩いていたバイト帰りのバス停で、
同じ専門学校に通う、
男の子とばったり遭遇したんです。
「え、同じ学校だったんだ」
なんてことない、
本当に他愛もない会話。
時間にして、ほんの数分。
なのに不思議なくらい、
その日の夜は、
なかなか目が冴えて眠れませんでした。
彼と別れたあとも、
胸の奥がずっとじんわりと温かかったから。
それから、私のスマホには少しずつ、
「LINEの通知」が増えていきました。
「今日は何してた」
「今度、課題のレポート教えてよ」
本当にそれだけ。
でも、そんな何気ない日常のラリーが、
凍えそうだった、
私の心をこんなにも温めてくれるなんて、
知らなかったんです。
一人暮らしというスパイスが、
恋を加速させる。
ひとりで自由になったことで、
気づいたことがたくさんあります。
自分の弱さも、夜の不安も、
つい張ってしまう強がりも。
そして、
誰かを「特別」に愛おしく思う気持ちも。
もしあの日、
コンビニからの帰り道が、
あんなに静かで寂しくなかったら。
私は彼の優しさに、
あんなにも深く、
惹かれていなかったかもしれません。
一人暮らしは、少しの孤独と、
それ以上の、
たくさんの気づきをくれる人生のステップ。
寂しさを知ったからこそ、
人の温もりがちゃんと心に染み渡る。
寂しい夜のすぐ隣には、
新しい「恋」の始まりが、
ひっそりと待っているかもしれませんよ。
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