趣味が合うって嬉しいけど…恋バナはちょっと苦手

金曜の夜、ちょっと気になっていた飲み屋へふらっと入った。カウンターに座り、軽く飲んでいると、店員さんが話しかけてきた。
「映画好きなんですか？」
「うん、まあまあ。でも、結構マイナーなのが好きかも」
「例えば？」
半分ノリで答えた作品を、彼は知っていた。しかも、しっかり内容まで語れるレベル。なんだろう、この嬉しさ。趣味が合うって、こんなに気持ちが弾むんだな。
そこから、映画の話で盛り上がり、気がつけばグラスが進んでいた。でも、ふと彼が聞いてきた。
「そういうのって、元カレとかの影響？」
一瞬、固まった。
「いや、そういうのは全然…」
正直、恋愛経験がほぼない。みんな、自然と誰かと付き合ったり、元カレとのエピソードがあったりするものなの？でも、私は語ることがない。
会話が詰まった空気が流れて、ちょっと気まずい。趣味の話が合うのは嬉しいけど、恋バナになるとなんだか困る。別に隠すことでもないけど、「え、そうなんだ…」みたいな反応をされると、なんとなく寂しくなる。
趣味の話だけで終わってくれたらよかったのにな。そんなことを思いながら、飲みかけのグラスをくるくる回していた。