「気づいたら、好きになってた。」
そんな風に始まる出会いが、実は一番危ない。
だって、恋を始める準備も、
傷つく覚悟もないまま、
心だけがどんどん深いところへ、
持っていかれてしまうから。
これまで生きてきて、
サヨナラなんてただの通過点だと思ってた。
失恋なんて誰にでもあるし、
これから何度だってやり直せるはず。
なのに、なぜか今回だけは、
どうしても違ったの。
彼からの連絡を待つ時間さえ愛しくて、
ただスマホの画面を、
見つめている瞬間すら幸せだった。
SNSの通知がピコンと鳴るたびに、
胸の奥が小さく跳ねる。
最初は、
本当にただの「知り合い」だったはずなのに。
あのとき、一緒に飲んだ夜。
お腹はもういっぱいのはずなのに、
「なぜか、もう一杯だけ」って、
グラスを重ねたくなる不思議な感覚。
彼と過ごす時間は、まさにそれと同じだった。
どれだけ長い時間一緒にいても、
どれだけ言葉を交わしても、
「もういいや」なんて1ミリも思えなかった。
少しだけ近づいた、二人の距離。
歩いているとき、
ふとした瞬間に触れそうになる指先。
その、付き合ってもいない不確かな曖昧さが、
逆に、余計に鼓動をうるさくさせる。
ふとした瞬間に彼の顔が浮かぶ。
その回数が増えていくほど、
私はもう手遅れなくらい、
彼を愛しているんだって気づいた。
それと同時に、胸の奥が少しだけ冷たく、
怖くなった。
紡がれた言葉の数だけ、
お互いの距離は確実に近づいていって。
でも、深く惹かれれば惹かれるほど、
心のどこかで、
カウントダウンが始まってしまう。
「この幸せが終わる時は、
一体いつなんだろう」って。
期待して、裏切られて、
夜中に頬を伝った涙の数だけ、
何度も「もう手放そう」って決意した。
なのに、朝が来ると結局、
何事もなかったかのように、
また私から連絡してしまう。
最初から驚くほど意気投合して、
気づけば毎日当たり前のようにLINEをラリーして。
いつでも繋がれるSNSの便利さが、
皮肉にも、
彼から離れられない一番の理由になっていた。
始まりは、
自分でも気づかないくらい静かで、
穏やかだったのに。
どうして終わりに向かう途中の今は、
こんなにも、
息ができないくらい苦しいんだろう。
ボロボロになって、
もう二度と、
こんな思いはしたくないって思うのに。
それでも私はきっとまた、
あのはかない温もりを求めて、
同じように恋をしてしまうんだと思う。
「気づいたら好きになってた」って、
あの静かな沼に、また足を踏み入れてしまう。
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